『大地の子』と私、、

大地の子 制作担当 河村正一氏を囲んだ、『大地の会を語る会』 にて

美佳りん


ちょうど今から10年前の冬は、河村さん方と御一緒に、『大地の子』冬ロケに参加させて頂いていて、内モンゴルや、長春等を雪の中、だるまのように着こんで、走り回って、通訳や制作のお仕事を、河村さんキャスト、スタッフの皆さんの下で、させて頂いておりました。


あれから10年後の誕生日の主人からのプレゼントが、『大地の子』の全巻のビデオテープでした。実は、主人は私が、制作に参加させて頂いていた事も知りながら、何と今まで一度も『大地の子』のドラマを見る機会が無かったのです。


そんな時、私が今年からホームページを正式にオープンした事もございまして、そのホームページがきっかけとなり、Tさんと出会う事になりました。Tさんは、インターネット上で『大地の子、ロケ』で検索されていたそうですが、それで、何と私のホームページにたどり着かれたそうです。


本当に不思議な御縁だと実感致しました。 私の宝物の思い出をたくさん詰め込んだコンテンツを作りましたが、その中に、『大地の子』と関わらせて頂いた、自分自身の思い出や、日本側中国側とのドラマ制作に関わった全ての皆さんとの温かい交流の当時の様子を思い出して、作ったコーナーがあり、このコンテンツが、Tさんと出会うきっかけになりました。


御丁寧な感想のメールを頂き、『大地の子』の色あせない感動を、心から感じていらっしゃる方が、こうして今なおいらっしゃる事に、このドラマの素晴らしさをあらためて感じました。


制作から10年経った今、こうして『大地の子』のお話を、『大地の子』の大ファンの方と出来るなんて、本当に思い掛けない事でした。


主人も、私とTさんの交流を聞くにつけ、「これは、きちんと『大地の子』を見てみないといけないなあ、、。」と、ビデオを購入して、二人で毎晩少しずつ、あらためて『大地の子』を拝見しました。


不思議な事に、放送された当時見た感動と、今回見た感動とは、少し違うような気がしました。


初めのテーマ音楽が流れてきたところで、私は、すでに涙がこぼれていました。


ドラマを見ながら、あらためて、『大地の子』と関わった頃の事が、私にとってどれだけ大切な宝物の時間であったのかという事が、本当に分かりました。


映像から映し出される、それぞれのシーンの風景、その一つ一つの舞台裏の、国境を越えた長い時間の人間と人間の真の交流、、。


国を超えた、文書と文書のやりとり、岡崎栄さん他、脚本制作翻訳等の過程に携わった皆さんの御苦労、、。


キャストが決まり、ロケ地の決定、準備、開拓団のロケは、真夏の北海道、お年寄りから小さなお子さんのエキストラの方々も、暑い中、一生懸命作品制作の為に最後まで笑顔で協力してくださった事、


私は日本で待機しながら、陰ながら過酷な中国の夏ロケチームの無事を祈った日々、最後の中国冬ロケに参加させて頂いて、想像以上の過酷なロケの中、河村さんやキャスト、スタッフの皆さんが、一番下っ端の私にまで、本当に良くして下さって、肉体的には、元気でしたが、自分の思うようにテキパキと仕事をこなせない不甲斐なさ等のせいで、時に精神的に落ち込んで泣き出してしまった時も、私が元気になるように、歌好きの私のために、忙しい中、皆さんを集めて夕食後カラオケ大会を開いて下さった事、、。


仲代達矢さん他、一流の素晴らしい役者さん方の日常のお世話をさせて頂いた時も、皆さんの人間的な大きさ、懐の広さ、そして何よりも謙虚でいらっしゃる姿にも、心から感動した事、、。


この『大地の子』のお仕事を通して、表方、裏方共に、第一線で御活躍されている方ほど、常に人に対する心遣いが出来て、仕事に厳しくあるけれど、過酷な環境に、へこたれる事無く、何よりも健康に気をつけて、責務を全うしている姿に、当時まだ若かった私は、多くの事を学ばせて頂きました。


中国ロケでも河村さんの下で、色々と皆さんの生活面のサポートをさせて頂きましたが、寒い中色々と手伝ってくれたりした裏方の中の裏方である、中国側スタッフの運転手さん等にまで、フル回転で動いている中、河村さんは、気配りを忘れずに、お礼の挨拶から何からきちんとされているお姿に、尊敬の念を心から感じておりました。


日本側と同様に、中国側の皆さんも、過酷なロケ中でも、いつも友好的で、笑顔を忘れずに、現場に通訳がいない状況でも、筆談や、簡単な日常会話をお互い覚え合って、小さな困難から大きなトラブルまで、常に話し合って、仕事仲間ではあるけれど、同時に友達として、合作制作を続けていったのです。


一心のお父さん役の朱旭さんも、陸徳志さんのように、大変心の優しい方で、人柄の大きな方でした。


月梅役の蒋文麗さんは、ドラマの役柄とは一味違って、ボーイッシュな感じの、さっぱりとした芯の強い、かっこいい、頼れるお姉さまという感じで、丹青役の盖麗麗さんは、女優さんらしく、常に美容の事を気にして、食にも気をつけられて、自己管理をきちんとなさるプロ意識の強い素敵な女性でした。


中国側の潘小揚監督は、四川省の方で、とても男らしくて、人柄も、とても温かくて、皆さんに慕われている素晴らしい監督でした。


中国側のプロデューサーであった、李清水さんも、人に対して大変真摯にお付き合いなさる方で、細かい事まで気の働く、素敵な方でした。


『大地の子』のドラマが大成功を成し遂げ、皆様の心を今も色あせない感動で包んでいるのは、ドラマ制作に携わった全ての方々が、国境を越えて、一つの大作を成し遂げようと、心を一つにして、仲間を思いやりながら、この作品を心から愛して、最後まで奮闘された事に他ならないと思います。


陸一心が、中国人の養父に拾われて、大変な時代を経て、本当の幸せをつかんだように、どんな困難な時も、希望を忘れずに信じてさえいれば、必ずどんな人にもその人に合った大切な人を与えられて、その人に合った場所を用意される、、。


そんな気がしています。自分の意志だけでは無い、不思議な運命の巡り合わせや、(月梅と一心が何度も再会して、結婚したように、、、。)(一心と松本耕次が、同じ仕事のプロジェクトチームとして、関わった事)等等。


自分の今生きている、生かされている境遇を大切に感じて、今という時を掛け替えの無い時間だと感じた時から、人は本当の幸せを見つける事が出来るのかもしれません。


どんなに辛い境遇も、信じてさえいれば、きっとまた道が開かれる、、。


その試練こそが、いつか必ず役に立つ時が来るという事を、この作品が、教えてくれたような気がします。


最後になりましたが、NHK日中合作ドラマ『大地の子』の制作に微力ながら関わらせて頂けた事を、私は心から感謝致しております。


私にとって、一生の宝物の思い出だと思っております。


原作者の山崎豊子さん、そして、キャスト、スタッフと制作に関わられた全ての方々、そして、ドラマを心から愛して下さる皆様に心からの感謝の気持ちを送りたいと思っております。


そして、日本と中国だけでなく、世界中の平和が一日も早く訪れる事を願って、最後の言葉とさせて頂きます。 本当にありがとうございました。

美佳りん
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